一生に一度の大切なアイテムである結婚指輪。そのため、どんな結婚指輪にするかはしっかりと吟味しなくてはいけません。その際には、もちろんデザインも重要ですが、指輪の素材をどうするかは特によく考えなくてはいけないポイントです。
指輪の素材は見た目やデザイン、宝石との相性だけでなく、後からのリサイズのしやすさ、耐久性の高さ、変色のしやすさなどにも注目しなくてはいけません。ここでは、プラチナやゴールドをはじめとする結婚指輪の素材となる金属のさまざまな特徴を解説していきます。
プラチナは、結婚指輪に限らず、さまざまなアクセサリーに使用されている金属です。ダイヤモンドとの相性が良いことから、昔から伝統的に結婚指輪の素材として用いられてきました。多くの人が「結婚指輪」と聞いて連想するのも、多くの場合はプラチナでしょう。当然、結婚指輪の素材としての人気ももっとも高い、定番素材なのです。
結婚指輪は長く使うもので、しかも日常的に身につけているものです。そのため、変形しにくい素材が望ましいです。しかし、プラチナの場合は純度が高いほど柔らかくなるため注意して下さい。プラチナ素材の指輪は、それだけでは強度が充分でないため、ほかの金属を混ぜて強度を補強しているのが一般的なのです。
結婚指輪は肌身離さず身につけているものなので、汗や化粧品などの化学物質が付着することは避けられません。素材によっては、そうした化学物質が原因で指輪が変色してしまうこともあります。しかし、プラチナなら変色しにくいため、安心して着けていられるのです。
金属アレルギーの人だと、指輪などのアクセサリーの素材次第ではアレルギー反応を引き起こしてしまうことがあります。プラチナ自体は金属アレルギーを起こしにくい素材ではありますが、前述の通り強度を上げるためにほかの金属が混入されているのが一般的です。そのため、プラチナではアレルギー反応は出なくても、混入されている金属の種類によってはアレルギー反応が出てしまうことがあるので、事前にどの種類の金属が混入されているかをチェックしておきましょう。
強度が高く変形しにくい素材が一概に結婚指輪の素材として優れているとは言えません。なぜなら、硬い金属は確かに変形しにくいのですが、それゆえにサイズ直しがしにくい場合があるからです。その点、一定の強度を保ちつつ、同時にしなやかさも持っているプラチナは非常に優れた素材だと言えるでしょう。
プラチナと並んで、結婚指輪の代表的な素材となっているのがゴールドです。そのきらびやかな輝きは、見るものにゴージャスな印象を与えてくれるだけではありません。
純金にほかの金属を混入させることで生まれる、ピンクゴールド、イエローゴールド、ホワイトゴールドなどの豊富なカラーバリエーションも人気の秘密です。ピンクゴールドはカジュアル系や清楚系問わず、どんなファッションにも合いますし、イエローゴールドは欧米では結婚指輪の主流となっています。
ホワイトゴールドは取扱いが難しいものの、光沢のある優しい色合いが魅力的です。こうしたバリエーションの豊富なゴールドは、見ているだけでも楽しくなれるでしょう。
ゴールドは、基本的にはプラチナと同じく純度が高いほど柔らかく、変形しやすい素材です。それを補うためにほかの金属が混入してあるのも同じとなります。また、ピンクゴールドは金に銅を混入した素材なので、抜群の強度を誇ります。
ピンクゴールドやホワイトゴールドは、変色しやすい素材となっています。ピンクゴールドは前述の通り強度を補強するために混入されている銅が変色しやすいため、温泉などに浸かるときは外しておいたほうがいいでしょう。また、ホワイトゴールドはイエローゴールドにパラジウムなどをメッキ加工したものなので、このメッキが外部刺激によって剥がれて変色することがあります。従って、ホワイトゴールドの指輪は家事を頻繁にする人や手先を頻繁に使う仕事をしている人には適しません。
金属アレルギーについても、ホワイトゴールドは要注意です。純金自体はアレルギーを起こしにくい素材なのですが、ホワイトゴールドには色の調整のためにニッケルが混入されていることがあります。このニッケルがアレルギーを引き起こすことがあるのです。
ピンクゴールドは前述の通り、ゴールドの中では抜群の強度を持っていますが、その反面、それは加工が難しいということを意味します。そのため、ブランドによってはピンクゴールドのサイズ直しを受け付けていないことがあるので注意しましょう。
ジルコニウムは、チタン以上の強度と耐腐食性に加え、豊富なカラーバリエーションを持つ素材です。そのカラーバリエーションは、表面に生じた酸化皮膜によって作られているので、塗装のように剥げたりする心配がありません。
ジルコニウムはチタンと同程度の高い強度を持つ金属です。結婚指輪の素材としては変形しにくい部類です。
ジルコニウムは変色しにくい素材です。その色は塗装やメッキではないので剥げてしまう心配もありません。強度も高いので、普段遣いや家事を頻繁にする人、指先を使う仕事をしている人に適していると言えるでしょう。
ジルコニウムは金属アレルギーを起こしにくい素材として知られています。ジルコニウムは、アクセサリーの素材としてよりも先にインプラントなどの医療用金属として用いられてきているので、人体への安全性は十分なものであると言えるのです。
ジルコニウムは高い強度を持つ反面、加工がしにくい素材です。そのため、指輪を作るときには店舗にサイズ直しが可能かどうかを確認しておきましょう。
チタンは、アクセサリーだけでなく、機械や乗り物など、日常生活におけるさまざまな場面で使用されている金属です。それだけに高い強度を持つ一方で、非常に軽いことでも知られています。その重さはなんとプラチナの約4分の1。ストレスを感じさせないつけ心地が、チタンの最大の魅力だと言えるでしょう。
チタンは非常に硬い金属なので、変形もしにくいです。そのため、肌身離さず身につけていても変形や損傷の心配がないので、頻繁に付け外しする煩わしさもありません。
チタンは耐蝕性が高い金属なので、汗や薬物、科学物質が付着しても変色しにくいです。長い期間美しい姿を保てる指輪を望むなら、これほどふさわしい素材はないでしょう。
チタンもまたジルコニウムと同じように、アクセサリーの素材以外にも人工関節や人工骨などの素材として使用されている金属です。金属アレルギーを起こしにくい素材なので、肌に長時間触れることはもちろん、体内に入れても危険はありません。
硬い金属の宿命として、プラチナよりも硬い金属であるチタンはサイズ直しが難しいです。チタン製の結婚指輪を作るときは、必ず店舗でサイズ直しが可能かどうかを確かめておきましょう。
タンタルは、あらゆる金属の中でもっとも黒いと言われるカラーリングが特徴の金属です。なんと宇宙で2番めに少ない元素でできているレアな金属となっています。
タンタルは非常に硬い金属です。丈夫で長持ちする反面、機械切削が難しい素材なので取り扱っているショップも限られます。
プラチナやゴールドでも腐食させてしまうような化学物質であっても、タンタルなら影響を受けません。
人工骨などの素材に使われているので、人体への悪影響はなく、アレルギーの心配はありません。
非常に硬い金属なのでサイズ直しは困難です。
これまで述べてきたように、結婚指輪の素材となる金属にはさまざまな種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。そのため、結婚指輪の素材を選ぶ際には 見た目やカラーリングだけでなく、素材となる金属の特徴や性質を知っておく必要があるのです。
また、素材による金属アレルギーの有無も人によっては重要なポイントとなるでしょう。日常的に身につけることになるアイテムである結婚指輪の人体への影響はしっかりチェックして下さい。